頼むぜスラムダンク

出産とスラムダンクの感想

38w2d、全巻購入

人生で何度もその機会はあった。友人の家、ラーメン屋の本棚、市立図書館。

 


しかし、あまりにも有名すぎることと小学生のときに半端にアニメを観ていたことで、大まかなストーリーを知ってしまっている(つもり)なので、逆にわざわざ手に取ることはしなかったのだ。

年に一度くらいの頻度で飲み会で「誰が好き?」という話題になることがあっても、登場人物を数人知っているので話を合わせることができるし困ったことはなかった。

しかしながら、その場に熱狂的なファンが数人いると少し話が深くなり「何戦が好き?」という話題になると途端に話についていけなくなる。

そういったときに、「アニメは観てたけど漫画は読んだことないんですよね〜。長いから最初の3巻くらいで挫折しちゃって」と言うと、必ず「絶対に読んだほうがいいよ!」と言われる。わかっている。名作なのは十分にわかる。絵も好きだし絶対に感動するのだろうという確信もある。ただ読み始めるきっかけがないのだ。

 


もう大人になり結婚して、漫画を所持する友人の家でダラダラ過ごす時間もないだろう。短いスパンで全国転勤を繰り返す夫と結婚したので、定食屋に通い全巻読破することも難しい。何より飽きっぽく集中力の続かない、好きな漫画は「きのう何食べた?」という自分にとって、大きなきっかけがないと全31巻は手が出せないような気がした。

だから決めたのだった。「人生に絶望したときの最終手段として読もう」と。

しかし、ありがたいことに私の人生には絶望は訪れなかった。特に大した人生ではないが、無理をしないし諦めも早く、苦痛を感じたら逃げるという性格なので特に困難はなかったのだ。

 


これは何か大怪我や病気をしたときがその時だろう。ガン家系なので、あと20年以内にはどこかしらのガンになるだろう、そのときだな…

と思っていたけど、思ったより早く人生に絶望が訪れた。妊娠したのだ。

 


妊娠がわかった3月ごろ、新型コロナウイルスの影響により地元への飛行機は運行を中止。あっと言う間に産院は軒並み「県外からの里帰り出産お断り」「自費でPCR検査必須」「県外から帰省後2週間自宅待機」。

仕方なく夫の赴任先である現在の居住地(親戚や友人0)で出産を決めたものの、もともと強くて希望していた無痛分娩をやっている産院はなく、立ち会い出産も禁止。

 


まあ産まれるころには状況変わっているかも、と期待していたが状況は悪くなる一方で、ついに立ち会いどころか入院中の面会は禁止。夫が子どもに初めて会えるのは退院時に迎えにきた病院の駐車場だそうだ。

 


さらに、これは私の知識不足で妊娠後に知ったのだが産後の心と身体のコンディションはすこぶる悪く、なのに授乳のため休養ができやいらしい。

会陰を切って縫って痔になり乳首がボロボロになり骨盤はガタガタ、寝不足、甘いものは食べられない、歯が欠けて貧血になり1ヶ月股から血が出続けて風呂にも入れず髪の毛が抜けるらしい。あと哺乳瓶はいちいち消毒したりお湯で溶かしたり一度沸騰して冷ました水?で冷ましたり?するらしい。はあ?

 


そういうわけで本日、スラムダンク全巻購入してまいりました。

私がこれから挑む痛くて幸せなときに、頼れるのは湘北高校の君たちだけだ。頼むぜ。